Ads 468x60px

2010/08/02

2010/8/2(月)西安PJ 5日目

報告 :吉田泰輔(M2)



こんにちは!
今日も北京から吉田が、西安交通大学との共同研究プロジェクトの報告をさせて頂きます。本日は、集合時にYale Business School出身のSophiaと合流し、総勢8名となりました。Sophiaは、ビジネススクールを卒業したばかりで、2011年からUBSで働く予定の女性です。英語、中国語、スペイン語が話せてフランス語も勉強中らしく、卒業までに世界一周旅行をしている途中のようです。ちょうど中国に来ていたところで、本プロジェクトに参加してくれました。

今日の目的地は、留民営(Liu min ying)という「循環型農業」で有名な北京の農村です。留民営は、北京の中心からバスで3時間程度と、かなり遠い場所にあります。大きなビルが集まる北京の中心を離れていくにつれて、徐々に道路の不整備や、建物の瓦礫が目立つようになって来ます。現地は、一見すると日本における普通の農村と同様に見えましたが、市役所の方の話を聞き、村を回るうちに、その特徴的な姿が明らかになって来ました。

通常、中国の農村というと都市との格差や貧困が連想される方が多いと思います。しかし、留民営はそのようなイメージとは異なり、人々は自然の中で豊かな生活を送っているようでした。まず私達は、市役所の会議室で、留民営の歴史と特徴について説明を受けました。留民営も、昔は中国の一般的な農村のように貧しかったようです。しかし1970年前後、ある研究者に提案された循環型農業の仕組みを取り入れて以来、村の様相は大きく変わりました。それまで個々の農家ごとにビジネスを行っていたところを、皆で協力し合うようになります。結果、村の農業、観光ビジネスは多くの収入を生み、現在の豊かな留民営になりました。





看板


風景


留民営の特徴として、まず、村民が共同で経営している畜産ビジネス、そして観光ビジネスで多くの収入を得ています。村では20万羽の鶏、5千頭の豚、百頭の牛が飼われており、卵や牛乳、肉が商品として販売されます。畜産は毎年25億円、観光は1億円の収入を生み、村内の公共サービスのために使われたり、村民に分配されています(数字は正確ではないかも知れません・・・)。また、家畜の糞を用いたバイオガスや太陽光発電によって、自給自足かつ循環型のシステムが確立されています。家畜の糞は、他の家畜の餌や畑の肥料として利用されたり、醗酵により家庭用ガスとして利用されています。太陽光発電もいくつか設置されており、エネルギーの自給自足の実現に貢献しています。最後に、留民営には多くのアミューズメント施設があります。プールや動物園、遊戯道具等が多くあり、これが観光客を引き寄せると共に、村民のための福祉としても機能しているようでした。



バイオガス製造プラント



太陽光発電



公園



留民営で話を聞き、村を回っていると、鹿児島県で同様の取り組みをしている村「やねだん」(http://www.yanedan.com/)が思い浮かびました。やねだんは高齢化が進む貧しい村でしたが、村民の協力の結果、村の活性化に成功します。そこでも留民営同様、収入が生まれ村が豊かになり、ボーナスという形で村民に利益が配分されることもありました。やねだんについて学んだ時には、村のまとめ役の方のリーダーシップと、村民の結束力が強く印象に残りましたが、留民営でもおそらく同様のことが起こったのだと推測できます。留民営では、毎年度、大ホールに村民が集まり餃子を一緒に食べるというイベントもあります。

都市の発展の影に農村の貧しさがあるというのは、どの国も同様なのだと思います。しかし、貧しい中でも工夫を凝らして豊かな生活を実現する農村もあります。留民営の市役所の方は、「同様の取り組みは他の村でも可能だと思う」と仰っていました。農村におけるこのような先進的取組みは、国を越えて、私達にとっても参考になるかもしれません。


※記事を読んで留民営に興味を持たれた方は、以下も参照してみて下さい。

環境と経済の調和を目指すエコビレッジの実践 ~「発展観」を問い直す~(鶴見陽子)
http://www.nier.go.jp/hidekim/ESD/EcoVillageJ.pdf

0 コメント:

コメントを投稿