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2010/08/12

2010/8/12(月)西安PJ 15日目

皆さんこんばんは。
g-enesisメンバーで本プロジェクト参加者の平野です。
しばらく更新が滞ってしまい、申し訳ありません。


最初に、7日から本日までの模様を簡単に振り返らせて頂きます。
7日は各学生による研究のレクチャーと交流会(東大からは午後に三上が発表する予定でしたが、
パスポート紛失の騒動がありインターナショナルチームによる大捜索活動に変更されました!!結局、事なきを得ましたが・・・)、8日は西安から陸路で遠く離れた党家村という古い村に行き伝統家屋の調査・測量と自然冷暖房のシミュレーションについての議論、9日は韓城という街に移動して前日に得たデータの解析と孔子の寺/司馬遷の墓の観光、10日は韓城から西安に戻って環境意識についての議論や秦の始皇帝稜と兵馬俑の観光,11日は西安から上海に移動してホテル探し(当初泊る予定のホテルに泊れないというトラブル+万博の影響で殆ど全てのホテルで予約が満室という状況でしたが,お互いの力を合わせて何とか市内中心部のホテルを取ることに成功しました)そして本日12日はエネルギー関係の展示を見に上海万博へ、というスケジュールでした。


本記事では、8日の党家村での調査の模様を報告します!




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8日の朝8時、我々は西安交通大近くのホテルロビーに集合し出発しました。まずは地元のバスに乗り20分、西安市内の高速バスターミナルに到着です。西安市内は空港以外全く英語の通じる場所が無く、地元の学生に行き先の発音を教えてもらって切符を購入します。


ここからは、ひたすら一本道の高速道路です。安井は出発前にバス内に表れた売り子から地元の芸能雑誌を購入。
中国では占いが好きな人が多くいるようで関連記事を発見、「目の形」「星占い」「血液型」「水の結晶構造」(この占いによって中国で有名になった日本人がいるようです。)といった様々な占いについてのトークに花が咲きます。


僕の隣の席には中国側の企画リーダーであるYan。日中の国内政治で起きている問題、日中の歴史観、中韓の文化的摩擦、日本の漢文教育、農業政策、量子力学、日本のアニメやドラマ・・・全く話題は尽きません。


高速バスで揺られる事約4時間、韓城という街に到着しました。さらにそこから地元のタクシーに乗り20分、目的地である党家村に到着です。


党家村は長い歴史を誇る古くも美しい村で,最も古いものでは明朝の頃からの伝統家屋がひしめきあっています。


この村は700年ほど前に都から移り住んできた党氏の一家が少しずつ大きくなって出来たそうで、村の全ての住人が遠い親戚関係にあるそうです。家々は伝統的な建築様式や文化を色濃く残しており、それらは中国で「natural ventilation」すなわち自然の力で暑さ寒さを凌ぐ能力に長けていると注目されているそうです。今回ここを訪れたのは、発展途上国としての中国の現実を見るためだけではなく、これらの家屋の構造についてシミュレーションを行い、伝統家屋の冷暖房効率を高める工夫を確かめる事も狙っています。


中国中央政府の発表した発展計画の中で、この地方は2048年までにdeveloped cityにすると約束されているそうです。ちなみに上海が最初で2018年、北京が次で2020年、最後はチベットで2050年だそうです。同じ国の中で30年分以上の格差が公式に容認・発表されているという事になります。


実際に家々の暮らしを見ると、この街ではテレビ・冷蔵庫などの電気製品は多くの家に普及しています。貧困といっても中国では本当に生命の危険を人々が感じながら暮らすような貧困は殆ど無くなったのだろう、と思いました。とはいえ決して裕福ではなく、子供は昼から家事や仕事を手伝い、小学校を除く教育施設も近くには無さそうです。


さて党家村の住居ですが、古くから続く人々の道徳観や思想、生活様式の跡が色濃く見える素朴な建物です。冷暖房効率の観点からは小さく数の多い窓と分厚い粘土質の壁が特徴で、洞窟のように昼夜を通じ温度が一定近い状態で保てるような構造でありながら局所的に風は入れらるような技術になっているのではないかと推測できます。昼から建物の大きさを入念に測量し、シミュレーション用に使う建物の立体構造(CADファイル)を作成していきます。


夜は党家村で唯一(と思われる)の宿屋に宿泊します。夜はエアコンと7人部屋に一つだけある電灯を除いては殆ど電気を使わ(え)ず、村での暮らしの様子を実感しました。


少なくともテレビが普及しつつあり外からの情報の多い村の環境では、若い人はやはりしばしば村の外へ出て行くことを考えるそうです。人々が暮らしを変えようとし、少なくとも自給自足によって地球に優しい伝統的な暮らし方が変わっていく。よく聞く近代文明と伝統文化の対立の構図かもしれませんが、初めて実感を伴った気がしました。


本日の上海万博など、その他の調査・研究の模様は追って報告します。お楽しみに!

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