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2010/08/12

2010/8/13(月)西安PJ 16日目

g-Enesisの吉田です。本日は異常な暑さの上海から、西安交通大学との研究プロジェクトの報告を行ないます。
今回の内容は、昨日(8月12日)訪れた上海万博についての報告になります。エネルギー関連のパビリオンを中心に回りましたが、ここでは国家電網館(State Grid Pavilion)、Broad Pavilion、城市未来館(Pavilion of Future)について詳しく報告したいと思います。他にも石油館等、エネルギー関連のパビリオンはありましたが、数時間の待ち時間に我慢が出来ず、今回は諦めることにしました。ただ、エネルギーは人々の生活を支えるインフラなだけあって、一見関係の無さそうなパビリオンや各国のパビリオンにおいても、関連の展示を見ることが出来ました。15日にもう一度万博を訪れる予定なので、その時にもっと探してみたいと思っています(出来れば石油館に再チャレンジしたいとも考えています)。


1. 国家電網館(State Grid Pavilion)
国家電網館は、国家電網公司という中国最大の電力事業者によって作られたパビリオンです。中では、電気を用いた展示やアミューズメント、開催前から話題になっていた「マジックボックス」を見ることが出来ました。ここでは、中国の超高圧送電網(UHV)計画に関する展示について詳しく報告したいと思います。

中国国内のエネルギー需給構造を見ると、東南の沿岸部でエネルギー消費が多いのに対して、エネルギー供給が多いのは石炭や水力資源が豊富な北西部になります。この地理的な需給のギャップを埋めるために、北西部から東南部に多量のエネルギーを輸送しているという現状があります。そのエネルギー輸送を効率化しようとするのが、UHV計画です。ちなみに、太陽光や風力等の自然エネルギー資源も北西部で豊富なため、今後も北西部から東南部へのエネルギー輸送需要は拡大していくと予想され、この点からもこの計画の重要性が見て取れます。




現在建設を終えたUHVとして、中国を縦断する640kmのものと、横断する1907kmのものが展示・解説されていました(写真参照)。後者は世界最長の送電網と言われており、上海のピーク電力の3分の1の電力輸送(7000MW相当)が可能だということです。また、UHVの使用により、送電ロス及び電線の幅(Corridor Width)を大幅に削減出来たということが強調されていました。送電ロスについては、前者が従来の4分の1、後者が5分の2にまで削減することに成功したようです。将来的には更に縦横一つずつUHVを追加し、"two vertical and two horizontal UHV grid"を実現するという目標が掲げられていました。

ちなみに、帰ってから調べてみたところ、本パビリオンではスマートメーターの実機が展示されていたようです。残念ながら見落としてしまったようです。。。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100501/182328/?ST=green_device



国家電網館外観


UHV計画に関する展示


2. Broad Pavilion
Broad Pavilionでは、省エネ建築関係の展示が行われていました。館内に雪で覆われた低温の個室があり、その回りに断熱性能の異なる窓や壁が設置されており、窓や壁の性能がどれくらい断熱効果に違いをもたらすか肌で体感出来る仕組みになっていました。マッキンゼーが発表したコストカーブ等で広く知られるようになりましたが、ビルの断熱は最も投資効率の高い(http://www.epa.gov/oar/caaac/coaltech/2007_05_mckinsey.pdf、P.38の図を参照)エネルギー問題対策であることが知られています。このパビリオンでも、"The building industry unnecessarily create 80% of our energy waste. "With simple measures we can eliminate this waste."ということが大きく書かれており、その重要性が強調されていました。

具体的に、単層、二重、三重の窓が展示されていましたが、単層のものを基準として二重窓は80%、三重窓は91%の省エネを実現することが出来るそうです。触れてみた印象でも明らかに温度が異なり、単層の窓と複層の窓の断熱効果の違いを実感する事ができました。また、壁についても、断熱材の含まれていないものを基準として、断熱材が10cmのものは86%、30cmのものは96%の省エネを実現出来るとのことです。他にも地上付近から冷たい空気を取り込むnatural ventilationのシステム等も展示されていました。

建築関連の省エネは、建築物の買い替えサイクルが長いこともあり、技術の導入がなかなか進まない分野でもあります。今後は、これらの投資効果の高い技術の導入をいかにして拡大させていくかということが重要な課題になると感じられました(既に課題として議論されていることではありますが・・・)。



Broad Pavilion外観


3. Pavilion of Future
巨大な温度計が特徴的なこのパビリオンは、地元の企業が中心となって技術を持ち寄り、都市の未来を描いたものです。未来都市に向けてのビジョンを描いた展示がほとんどでしたが、当然そこではSustainability(持続可能性)やエネルギー問題も重要テーマとして取り上げられていました。特に印象的だったのは巨大スクリーンに映されるアニメで、未来の理想的な都市の姿が様々なテーマ(エコ、エネルギー、水等)において描かれていました。このパビリオンで特に象徴的でしたが、今回の万博では巨大スクリーンや巨大展示物を用いた壮大な展示が多かったような印象を受けます。これも広大な土地を持つ中国らしさの表れだと思うので、15日にもその点を楽しみに見て回りたいと思いました。


城市未来館外観



巨大書籍の展示




理想的な未来都市を映すスクリーン


<参考>
State Grid Pavilion: http://www.magicbox2010.com/
http://jp.expo2010.cn/c/jp_qy_tpl_101.htm
Broad Pavilion: http://en.expo2010.cn/c/en_qy_tpl_111.htm
Pavilion of Future: http://en.expo2010.cn/c/en_qy_tpl_277.htm

代投稿・編集:須山友貴(M1)

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